はじめに
RLC並列回路は、電気主任技術者試験(電験三種)の電気理論分野における重要な学習テーマの一つです。この回路は、電気設備の力率改善や高調波対策など、実務でも幅広く活用されており、その理解は電気主任技術者として不可欠なものとなっています。本記事では、RLC並列回路の基礎理論から実務応用、試験対策まで、体系的に解説していきます。
主なポイント
- 基本的な回路構成と特性
- アドミタンスを用いた解析手法
- 並列共振のメカニズム
- 実務での具体的な応用例
- 電験三種の試験対策
本記事を通じて、RLC並列回路に関する理論的理解を深めるとともに、実践的な計算力を養い、電験三種の確実な合格を目指します。初学者の方にも理解しやすいよう、基礎から段階的に説明を進めていきますので、最後までしっかりと学習を進めていきましょう。

先輩、RLC並列回路について教えていただけませんか?電験三種の勉強で出てきたのですが、少し難しくて……



あぁ、RLC並列回路ね〜。実は現場でもよく見かける大事な回路なんだよ



そうね。基本からしっかり説明しましょう。まずは回路の構成要素から見ていきましょう
第1章:RLC並列回路の基礎理論
RLC並列回路は、電気回路の基本構成の一つとして、電気設備の設計や保守管理に不可欠な要素です。抵抗(R)、インダクタンス(L)、キャパシタンス(C)を並列に接続したこの回路は、力率改善や高調波対策など、実務での応用範囲が広く、電験三種の試験でも重要な出題分野となっています。
主なポイント
- 並列接続の基本特性
- アドミタンスによる解析
- 共振現象の理解
- 実務応用の基礎



まず、RLC並列回路の基本的な構造について教えていただけますか?



うん、簡単に言うとね〜、抵抗とコイルとコンデンサを並列につないだ回路のことだよ



ええ。もう少し詳しく説明するわ。RLC並列回路の特徴は以下の3つよ
- 各素子に同じ電圧が加わる
- 全電流は各素子の電流の和になる
- アドミタンスで計算すると扱いやすい



特に3つ目のアドミタンスという概念は重要なのよ
アドミタンスの基本概念



アドミタンスは、交流回路での電流の流れやすさを表す値よ。単位は[S](ジーメンス)を使うわ



現場で言うと、配線の太さのようなイメージかな〜。太い配線の方が電流が流れやすいでしょ?
各素子のアドミタンスは以下の式で表されます。



ω(オメガ)は角周波数ということは分かるのですが、なぜコイルの式にマイナスが付くんですか?



良い質問ね。コイルのアドミタンスにマイナスが付くのは、コイルに流れる電流が電圧に対して90度遅れるからよ。数式で表すと、虚数単位jを使って表現するの



実務的に言うとね〜、コイルとコンデンサは電流の流れ方が逆なんだ。だから片方にマイナスが付くよ
並列回路の合成アドミタンス



RLC並列回路の合成アドミタンスYは、各素子のアドミタンスの和になるわ。つまり……



計算が複素数になってきて、少し難しく感じます……



簡単な例で考えてみようか〜。例えば……
- 抵抗R = 100Ω
- コイルL = 0.1H
- コンデンサC = 100μF
- 周波数f = 50Hz



の回路を考えてみよう



では、具体的な計算をしてみましょう。まず角周波数ωを求めるわ



一つずつ計算していくと、意外と理解できそうです!



そうだね〜。実は現場でも、このように素子ごとに分けて考えると分かりやすいんだよ
第2章:並列共振現象の理解
並列共振は、RLC並列回路における重要な現象の一つです。特定の周波数において、コイルとコンデンサの電流が打ち消し合い、回路のインピーダンスが最大となるこの現象は、電気設備の設計や運用に大きく影響します。電験三種では、共振周波数の計算や回路特性の理解が頻出の試験範囲となっています。
重要ポイント
- 共振周波数の理論
- インピーダンスの変化
- 電流特性の理解
- 力率との関係



先ほどの計算で、コイルとコンデンサのアドミタンスがほぼ同じ値になっていましたが、これには何か意味があるんでしょうか?



あ、それは大事なポイントだね〜。これが並列共振って呼ばれる現象なんだよ



ええ、並列共振は電気設備の設計でとても重要な現象よ。詳しく説明していきましょう
並列共振のメカニズム



並列共振とは、コイルとコンデンサのサセプタンス(虚部のアドミタンス)が打ち消し合う現象よ。つまり……
BC = BL



となる状態ね。このとき、回路の合成アドミタンスは純抵抗性(実部のみ)になるわ



現場で言うとね〜、力率が1になる状態なんだ。無効電力が0になるから、電力会社も喜ぶよ



共振周波数はどうやって求められるんですか?



共振周波数f₀は、以下の式で求められるわ



この式、電験では必ず出てくるから覚えておいた方がいいよ〜
並列共振の特徴



並列共振時の特徴をまとめると
- コイルとコンデンサの無効電流が等しくなる
- 力率が1になる(純抵抗回路として振る舞う)
- 回路インピーダンスが最大になる
- 電源電流が最小になる



並列共振が起きると、なぜ電源電流が最小になるんですか?



簡単に説明すると、コイルとコンデンサで電流が行ったり来たりするんだけど、電源からは見えないんだよ〜



もう少し詳しく説明するわ。コイルとコンデンサの電流は大きくても、位相が逆なので打ち消し合うの。だから電源から見ると、抵抗に流れる電流だけになるわ
実務での応用例



実は並列共振、結構身近なところで使われてるんだよ〜。例えば……
- 力率改善コンデンサの設計
- 高調波フィルタ回路
- 通信機器の同調回路



特に力率改善は電気主任技術者の仕事でも重要だね〜



力率改善にも使えるんですか?



ええ、そうよ。設備の力率を改善するために、適切な容量のコンデンサを選定する際に、この理論が使われるわ
第3章:計算演習編 ~電験三種の定番問題を攻略~
電験三種におけるRLC並列回路の計算問題は、基本的な回路解析から実務的な応用まで、幅広い範囲から出題されます。本章では、試験でよく出題される計算パターンと、その解法テクニックを解説します。特に、アドミタンスを用いた計算手法や、共振周波数の導出方法に重点を置いて説明します。
学習ポイント:
- 合成アドミタンス計算
- 共振周波数の求め方
- 力率と電流の計算
- 実践的な解法テクニック



並列共振の理論は分かってきましたが、実際の計算問題となると不安です…



大丈夫だよ〜。よく出る計算パターンを押さえれば、案外シンプルなんだ



そうね。特に電験三種では、以下の3つのパターンがよく出題されるわ
- 合成アドミタンスの計算
- 共振周波数の計算
- 力率と電流の計算
演習問題1:合成アドミタンス計算



では、典型的な問題を解いてみましょう
【問題】
次のRLC並列回路について、合成アドミタンスを求めなさい。
- 抵抗R = 50Ω
- インダクタンスL = 0.2H
- 静電容量C = 50μF
- 周波数f = 50Hz



まずは何から始めればいいでしょうか…



僕なら、計算の順番を決めてから始めるかな〜
- 角周波数の計算
- 各素子のアドミタンス計算
- 合成アドミタンス計算



って感じで



その通りよ。では、一緒に計算していきましょう
【計算式】
Step 1: 角周波数ωの計算
ω = 2πf = 2π × 50 = 314 rad/s
Step 2: 各素子のアドミタンス
- 抵抗のアドミタンス:G = 1/R = 1/50 = 0.02 S
- コイルのアドミタンス:BL = -1/ωL = -1/(314 × 0.2) = -0.0159 S
- コンデンサのアドミタンス:BC = ωC = 314 × (50 × 10^-6) = 0.0157 S
Step 3: 合成アドミタンス
Y = G + j(BC – BL)
= 0.02 + j(0.0157 – (-0.0159))
= 0.02 + j0.0316 S



数値を一つずつ計算していくと、意外とできますね!



そうそう!僕も現場では、この順番で確認していくんだ〜



では、次は共振周波数の計算問題をやってみましょう……
演習問題2:共振周波数の計算



次は共振周波数を求める問題よ。これも電験三種では頻出の計算パターンね
【問題】
インダクタンスL = 0.1H、静電容量C = 40μFのLC並列回路について、以下の設問に答えなさい。
(1) 共振周波数f₀を求めよ。
(2) 共振時のリアクタンスXLとXCを求めよ。



共振周波数の公式は覚えましたが、実際の計算で単位の扱いが不安です……



あぁ、単位変換は現場でもよく気を付けるポイントだね〜。特にμF(マイクロファラッド)は間違えやすいから注意かな



そうね。では順を追って計算していきましょう
【計算式】
(1) 共振周波数f₀の計算
Step 1: 単位を基本単位に変換
- L = 0.1 H
- C = 40μF = 40 × 10^-6 F
Step 2: 共振周波数の計算
f₀ = 1/(2π√(LC))
= 1/(2π√(0.1 × 40 × 10^-6))
= 1/(2π√(4 × 10^-6))
= 1/(2π × 2 × 10^-3)
= 79.6 Hz



途中の計算を細かく区切ってもらえると、とても分かりやすいです!



(2)のリアクタンスも計算してみましょう
【計算式】
Step 3: リアクタンスの計算
- XL = ωL = 2πf₀L = 2π × 79.6 × 0.1 = 50Ω
- XC = 1/(ωC) = 1/(2πf₀C) = 1/(2π × 79.6 × 40 × 10^-6) = 50Ω



おっ、XLとXCが同じ値になったね。これが共振の条件なんだよ〜



なるほど!理論で学んだことが計算で確認できました!



そうよ。共振時には必ずXL = XCとなるの。この値が等しくなることで、先ほど説明した無効電流の打ち消し合いが起こるわ
演習問題3:力率と電流の計算



次は力率の計算だね〜。これ、実は現場でもすっごく大事なんだよ



ええ、特に電気料金に直結する重要な要素よ。では問題を見てみましょう
【問題】
電源電圧100V、周波数50Hzの電源に、以下の素子が並列接続されている。
- 抵抗R = 20Ω
- インダクタンスL = 0.1H
- 静電容量C = 100μF
以下の設問に答えなさい
(1) 力率を求めよ
(2) 電源電流の実効値を求めよ



力率の計算には、どの値を使えばいいのでしょうか?



力率は、合成アドミタンスの実部と絶対値から求められるわ。順を追って計算しましょう
【計算式】
Step 1: 各素子のアドミタンス計算



その前に、現場での話を少し。力率が悪いと電気代が高くなっちゃうんだ〜。だから、この計算はすっごく実践的だよ
- G = 1/R = 1/20 = 0.05 S
- ω = 2πf = 2π × 50 = 314 rad/s
- BL = -1/ωL = -1/(314 × 0.1) = -0.0318 S
- BC = ωC = 314 × (100 × 10^-6) = 0.0314 S
Step 2: 合成アドミタンスY
Y = G + j(BC – BL)
= 0.05 + j(0.0314 – (-0.0318))
= 0.05 + j0.0632 S
Step 3: 力率の計算
力率 = G/|Y|
= 0.05/√(0.05² + 0.0632²)
= 0.05/0.0804
= 0.621
= 62.1%



力率が62.1%というのは、良い値なんでしょうか?



実務的には、あまり良くない値だね〜。一般的に85%以上を目指すんだ。こういう時は力率改善コンデンサを入れるよ



では(2)の電源電流も計算しましょう
Step 4: 電源電流の計算
I = V × |Y|
= 100 × 0.0804
= 8.04 A



この電流値は、無効電流を含んだ値なんだよね〜。力率が低いと、必要以上に電流が流れちゃうんだ



なるほど!だから力率を改善すると、電気代が下がるんですね



その通りよ。特に電験三種の計算問題では、このような実務に即した計算がよく出題されるわ
計算問題のまとめ



これまでの計算問題を通して、重要なポイントをまとめましょう
- 単位の取り扱いに注意(特にμFからFへの変換)
- 角周波数ωの計算を忘れずに
- 力率は実部/絶対値で計算
- 共振時はXL = XCを確認
第4章:実務応用編 ~現場で活きるRLC並列回路~
RLC並列回路の実務応用は、工場やビル設備の電気品質管理において重要な役割を果たしています。特に力率改善用コンデンサの設計や、高調波対策フィルタの選定など、実践的な場面で活用されています。本章では、理論が実務でどのように応用されているかを具体例とともに解説します。
実務ポイント:
- 力率改善装置の設計
- 高調波対策フィルタ
- 電力系統の調相設備
- トラブルシューティング



これまで理論と計算について学びましたが、実際の現場ではどのように使われているんですか?



うん、実はすっごくたくさんの場面で使われてるんだよ〜。代表的なものを3つ紹介するね
1. 力率改善装置



一番よく目にするのは、力率改善用のコンデンサかな〜。工場とかビルの電気室に必ずあるよ



そうね。特に大型の誘導モータを使用する設備では重要よ



簡単に説明すると、こんな感じかな
- モータはコイルの性質を持っているから、電流が電圧より遅れる
- その遅れを打ち消すために、コンデンサを並列に入れる
- すると、さっき計算した共振のような状態になって、力率が改善される



実際の設計では、どうやってコンデンサの容量を決めるんですか?



理論的には、遅れ無効電力を打ち消すために必要な進み無効電力を計算するわ。計算式は……
Qc = P × (tanθ₁ – tanθ₂)
ここで
- Qc:必要なコンデンサ容量 [var]
- P:有効電力 [W]
- θ₁:改善前の力率角
- θ₂:改善後の目標力率角



でも実務では、モータの定格出力からだいたいの容量を決めることが多いかな〜。メーカーのカタログに換算表が載ってるんだ
2. 高調波対策フィルタ



最近増えてきてるのが、高調波対策のフィルタ回路だね〜



高調波って、基本波以外の周波数成分のことですよね?



その通りよ。特にインバータ機器から発生する高調波を除去するために、RLC並列回路が使われるの



これも実は並列共振を利用してるんだよ。例えば……
- 第5次高調波(250Hz)を除去したい場合
- その周波数で共振するようにLとCを選ぶ
- すると、その周波数の高調波電流だけを吸収してくれるんだ
3. 電力系統の調相設備



大規模な電力系統でも、RLC並列回路の原理が使われているわ



そうそう。実は送電線って、すっごく長いコイルみたいなものなんだ〜。だから、所々に並列コンデンサを設置して、電圧降下を防いでるんだよ



へぇ、送電線にもRLC並列回路の考え方が使われているんですね!
第5章:試験対策まとめ ~合格へのポイント~
電験三種試験におけるRLC並列回路の出題傾向を分析し、効率的な学習方法と解答テクニックを解説します。計算問題の攻略法から、理論問題の重要ポイントまで、試験合格に必要な知識を体系的にまとめています。
学習ポイント:
- 出題傾向の分析
- 計算問題の解法
- 理論問題の対策
- 時間配分のコツ



ここまでの内容を試験対策としてまとめていただけますか?



そうだね〜。特に電験三種では、計算問題の配点が大きいから、解き方のコツをしっかり押さえておこう



ええ。私から重要ポイントを3つに分けて説明するわ
1. 計算問題攻略のポイント



まず、計算問題でよく出題されるパターンと解法をまとめましょう
【計算問題の主要パターン】
- 合成アドミタンスの計算
- 各素子のアドミタンスを個別に計算
- 実部と虚部を分けて合成
- 単位に要注意(特にμF→F)
- 共振周波数の計算
- f₀ = 1/(2π√(LC)) を使用
- XL = XCを確認
- 計算途中の√の処理に注意
- 力率・電流の計算
- 力率 = G/|Y|
- 電流 = 電圧 × |Y|
- 有効電力 = VI cosθ



計算では、途中式もしっかり書くことが大事だよ〜
2. 理論問題対策



理論問題では、以下の項目がよく出題されるわ
- 並列共振の特徴
- コイルとコンデンサの電流が等しい
- 力率が1になる
- インピーダンスが最大
- 各素子の性質
- 抵抗:電圧と電流が同相
- コイル:電流が電圧より遅れる
- コンデンサ:電流が電圧より進む
- 実務との関連
- 力率改善
- 高調波対策
- 調相設備



ベクトル図も時々出題されますよね?



ええ。特に以下の点に注意して
【ベクトル図のポイント】
- 電圧ベクトルを基準(→)に描く
- 各素子の電流の位相関係を正確に
- スケールを意識した作図
3. 時間配分と解答テクニック



実は、解き方の順番も大事なんだよ〜
【時間配分のコツ】
- 配点の大きい計算問題を優先
- 計算途中で行き詰まったら、後回しにする
- 理論問題は空き時間に



解答用紙の書き方も重要よ。以下の点に気をつけて
【解答記述の注意点】
- 単位を必ず記入
- 有効数字は3桁程度
- 途中式は省略しない
- ベクトル図は定規を使用



試験では、どんな失敗が多いんでしょうか?



そうだね〜、よくある失敗をまとめてみたよ
- 単位変換ミス(特にμF)
- 計算途中での桁落ち
- 角周波数の計算忘れ
- 力率計算での分母の取り違え
- ベクトル図の位相関係の誤り」
よくある質問(FAQ)
RLC並列回路に関する疑問や質問について、基礎的な内容から実務的な課題まで、幅広い観点から回答を提供します。特に初学者がつまずきやすいポイントや、実務で直面する課題について、具体的な解決策を示しています。
FAQの構成:
- 基礎概念の疑問解消
- 計算方法の確認
- 実務上の課題解決
- 試験対策のアドバイス



記事を読んで、いくつか気になる点が出てきました。よくある質問についてまとめていただけませんか?



そうだね〜。現場でもよく聞かれる質問を集めてみたよ



では、重要な質問から順番に答えていきましょう



実務と理論の両方からの説明で、とても分かりやすかったです!



他にも分からないことがあったら、いつでも聞いてね〜



そうね。理解を深めることが、合格への近道よ
第6章:総まとめと演習問題 ~実戦力を養おう~
RLC並列回路の知識を実践的な問題演習を通じて定着させます。基礎理論から実務応用まで、総合的な理解を深めるための演習問題と詳細な解説を提供します。本章の演習を通じて、電験三種の試験対策と実務での活用、両方の視点での理解を深めることができます。
演習ポイント:
- 総合的な実践問題
- 詳細な解説
- 応用力の養成
- 実務的な考察



ここまでの内容を、実際の問題で確認してみたいです!



そうだね〜。これまで学んだことを使って、本番レベルの問題を解いてみよう



よくできているわ。では、実践的な総合問題を出すわね
総合演習問題
【問題】
工場の動力設備について、以下の条件で解析しなさい。
[設備条件]
- 電源電圧:200V
- 周波数:50Hz
- 負荷:15kWの誘導電動機(力率0.75)
- 力率改善用コンデンサを並列接続
設問
(1) 力率改善前の無効電力を求めよ
(2) 力率を0.95まで改善するために必要なコンデンサ容量を求めよ
(3) 改善後の電源電流を求めよ



実際の設備のような問題ですね。どう解いていけばいいでしょうか?



順を追って解説するわ
【解答と解説】
Step 1: 改善前の状態を分析
(1) 無効電力Q₁の計算
- 有効電力P = 15kW
- 力率cosθ₁ = 0.75
- θ₁ = arccos(0.75) = 41.4°
- Q₁ = P × tanθ₁
= 15000 × tan(41.4°)
= 13.3kvar



この無効電力が、設備の電流を増やしちゃう原因なんだよ〜
Step 2: 必要なコンデンサ容量を計算
(2) コンデンサ容量の計算
- 改善後の力率角θ₂ = arccos(0.95) = 18.2°
- 必要な容量Qc = P(tanθ₁ – tanθ₂)
= 15000(tan(41.4°) – tan(18.2°))
= 15000(0.883 – 0.329)
= 8.31kvar



これが必要なコンデンサの容量ね。静電容量Cは……
- C = Qc/(2πfV²)
= 8310/(2π × 50 × 200²)
= 332μF」
Step 3: 改善後の電流計算
(3) 電源電流の計算
- 改善前電流 I₁ = P/(V × cosθ₁)
= 15000/(200 × 0.75)
= 100A - 改善後電流 I₂ = P/(V × cosθ₂)
= 15000/(200 × 0.95)
= 78.9A



電流が約21A減ったね。これが電気代の削減につながるんだ〜
まとめと応用のポイント



この問題から学べる重要なポイントをまとめましょう
- 実務計算の基本手順
- 既設設備の分析
- 改善目標の設定
- 必要な容量計算
- 改善効果の確認
- 計算上の注意点
- 単位を揃える(W→kW、var→kvar)
- 三角関数の使い方
- 有効数字の扱い



実は現場でも、ほとんどこの通りの手順で設計していくんだよ



理論と実務がつながってきた気がします!
次のステップに向けて



これまでの学習を活かして、さらに理解を深めていきましょう



そうだね〜。電験三種の合格を目指して、頑張っていこう!



ありがとうございました!これからも分からないことがあったら、質問させてください!
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